妹を助けるために彼が選んだ行動は・・・ダンジョン内での時給自足。
ダンジョンという閉塞した空間の中・・・そこでどう『食べて』いくか。
主人公ライオスたちは、ドラゴンに食われた妹を助けるためダンジョン深層をめざします。
準備もない時間もない中、それでも食事は必須・・・
彼らが選んだのは食料の現地調達をしつつ、モンスターを調理して食べるという方法でした。
九井諒子先生の長編ファンタジー漫画『ダンジョン飯』です。
2022年10月時点で12巻まで発売されており、アニメ化も決まっています。
モンスターと出会い、倒して、調理して食べるという流れで進むストーリーは、架空の食材の調理漫画のようなテイストです。
しかしこの漫画、”架空の食材”とは思えないほど調理や味の設定が詳しく描写されている・・・!
モンスターの生態から、どんな調理法が合っていて、どんな味がするかまで設定が深く作られているのは読んでいてすごい楽しいです。
九井諒子先生の世界観の深さを感じますね。
あらすじ
物語は主人公・ライオスたちがダンジョン深層でドラゴンと対峙して、全滅するところから始まります。
魔法で入口まで戻ったものの、ドラゴンに食われた妹・ファリンを助けるために再び深層を目指します。
しかしダンジョン攻略で一番の問題になるのは食料。
荷物のほとんどを失った彼らには、準備をするお金も、そのための時間も足りず・・・
ダンジョン内で食料を調達しつつ進むことにしたのです。
そして明かされるライオスの「モンスターが好きで味も知りたかった」という想い。
彼らはファリンを助け出すことが出来るのか?
そしてライオスはどんなモンスターを食べることが出来るのか・・・?
「ダンジョン飯」の味まで想像できるのが楽しい
ライオスたちが食べているのはモンスターという架空の食材、それらを調理した架空の料理です。
ですが、モンスターがそれぞれ現実の生き物に似た生態として描かれており、「どんな触感か」「どんな味か」まで想像することができました。
例えば「ミミック」はまるでカニやヤドカリのような生き物として登場し、その調理法や食べ方もそれと似たような方法で描かれています。
とはいえダンジョン攻略中に”カニ用フォーク”のような専用の道具があるわけではなく・・・代わりに罠の解除に使うピッキングツールで食べているのには少し笑ってしまいました。
読み返したくなるストーリー
「モンスターを調理して食べる」というテーマのため、「モンスターを見つける、倒す、料理する」という1話関係の話が多くなっています。
なのでどの話からでも読み直しやすい構成になってます。
手軽に読み直せるからこそ、何度も読み直して深い世界観を味わっていくのが楽しいです。
九井諒子先生の世界観の深さが楽しい!
キャラクターの生い立ちやダンジョンの設定だけではなく、モンスターがどんな生態なのか、またダンジョン内でどんな食物連鎖が産まれているのか・・・
などとにかく設定が深く作りこまれています。
だからこそ読むほどにキャラクターの個性に味が出てきて、どんどんハマっていくように感じます。
モンスターを調理するライオス一行の他にも、ダンジョンを調査する研究者たち、モンスター食を嫌いダンジョン踏破を目指す冒険者・カブルーたち、そしてダンジョン殲滅を目的としたエルフの集団カナリア。
それぞれが各々の目的や考えを持って動いていて、お話がどう進んでいくのかとても引き込まれます。
またモンスターについても深い設定が作りこまれており、架空の生物でありながら、どんな調理法が合うのか、どんな食感なのか、どんな味なのか・・・そしてどんな料理ができるのかまでとても想像しやすいものになっています。
モンスターというファンタジー部分を除けば料理漫画に近いかもしれません。
実際、第一話に出てくる「大サソリと歩き茸の水炊き」とかを見ると鍋が食べたくなったりするんですよね。
まとめ
九井諒子先生の『ダンジョン飯』の紹介でした。
僕らの生活に関わる「食」というテーマがメインになっているため、漫画に描かれている以上のことをガッツリ想像しながら楽しく読めました。
そこに深く作りこまれた世界観が非常にマッチしており、味のある作品になっています。
ぜひ読んでみてください。
追記:ダンジョン飯ボードゲーム『モンスターイーター』
ちなみにこの漫画を題材にしたボードゲームも作られています。
『モンスターメーカー』という有名なゲームを元にしてるんですが、モンスターを「食べる」ことを盛り込んだり、劇中のキャラクターが登場したりとルールもリメイクされています。
実際にプレイしたんですが、とても面白かったです。
「倒したモンスターを料理する」とキャラクターを回復できるんですが、漫画のテーマがゲームの攻略にちゃんとつながっていて感動しました。
モンスターを倒して食べてまた先へ進んでいく・・・というライオスたちの行程をそのまま体験したように感じました。
またモンスター食嫌いのカブルーたちやエルフ集団カナリアはそもそもモンスターを料理できないため、漫画の世界観を壊すこともありません。
そしてそれがゲーム上で特に不利になるわけではなく、彼らはまた別の方法で先へ進んだり・・・。
もとのゲーム『モンスターメーカー』の面白さはそのままで、それでいて漫画の世界観をうまく盛り込んだ非常に良いゲームでした。
興味があればぜひプレイしてみてください。